北米の最新クラフトビール情報をお届けします。

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ライター

クラフトブルワリーに囲まれると、自然と「自分好みのビール探し」というジャーニーに挑む旅人となります笑

なにせ世の中には100種類以上のビールスタイルが存在すると言われています!好きなビールを飲み続ける幸福はされど、好奇心を探求する旅もまた刺激的。しかも北米のクラフトは価格が手ごろで、気を張らずカジュアルに継続出来ます。

※ちなみに日本の一般的な居酒屋で飲めるのは殆どが ピルスナー(ラガー)なので、原則どこへ行っても同じタイプ。比較出来るのは「ピルスナー内の違い」だけなんです。

さてここでは、私のごくごく私的な好みと、体験を通したビールの紹介をしたいと思います!

序章:まずはラガー


プロローグはもちろんラガー。日本に居るころはラガーしか飲んだ事が無く「ビール=ラガー」だと思い込んでましたし(ラガーの意味もよくわかってなかった)、実際美味しくて満足してました。(キリンが好みでしたが、生ビールは何飲んでも美味い!とこだわりの少ないサラリーマンでした)今でも日本へ行くたびにジャパン・ラガーに舌鼓。


カナダに住み始めても大手メーカーが作るCanadianやKokaneeというピルスナー系のビールが世間的にはポピュラーで、特に貧乏だった留学生時代は家飲みが多いため、リカーストアで安く購入できる大手のピルスナーを飲みまくってました。Kokaneeのようなラガーはエールに比べると当然「薄い」のですが、バドワイザーのようなアメリカンラガーと違って手ごたえを感じる程度のモルトがあり、日本と違うがカナダのラガーもうめぇ、、とラガー漬けでした。

第一章:ペールエールに目覚める


カナダでもラガーにはまる中、地元のクラフトブルワリー(Granville Island Brewing)が作るビールもバンクーバーではよく流通しており、たまたま試したペールエールの個性にびっくり仰天。このブルワリーのペールエールは少しクセがあるんです、確かに。ラガーでは未体験ゾーンだった手応えがあるモルトに徐々にハマっていきました。定期的に飲みたくなる「依存性」すら感じる。思えばこれがクラフトビール世界への初めの一歩でした。

第二章:IPAに中毒

時は経ち改めてクラフトビールを飲む機会が増えてきたころ、ご多分に漏れずIPAにばっちりハマりました。ビール好きが行き着くのはやっぱりホップの効いたクセのあるIPA。IPAは日本人には特に人気があるように思います。

苦味とアロマが強くアルコールも高い、このパンチの効いたビールに一度はまったらアリ地獄のようになかなか抜け出せません。他のビールだと物足りなく感じちゃうんですよね。もはや一生ラガーに戻れる気がせず、安土桃山から江戸長期政権に突入したかのような私の中の「安泰のIPA時代」が到来したのでした。

ちなみにIPAは焼酎で例えると「芋焼酎」です(ものすごく断定してますが私見です)。焼酎界でもクセの強さの王様はやっぱり芋。クセの強いものにはまると軽くする事がもはや不可能で、麦や米に戻る事はありません。ビールでもIPAにはまるとIPAよりパンチの少ないスタイルでは満足出来ない体になります。もはやシャブ漬け状態(笑) ただ正直言うと、IBUの高いインペリアルIPAみたいに強すぎる奴はパイント一杯で丁度いいかな・・と感じてしまいますが。


こちらはビクトリアのブルワリー Driftwood Brewing CoのIPA「Fat Tug」は地元では有名。ホップの苦味がガッツーン!と効いててもう最高。死んでもいい。

第三章:白ビールに衝撃

たまたまベルギーのヒューガルテンを飲む機会があり、今まで知らなかったまろやかな口当たりに衝撃。新宿高島屋タイムズスクエアにあるベルギーパブでしたが、ヒューガルテンの「生」が飲めるお店で仕事場の近くだった事もありよく立ち寄ったものです。タップ一杯1000円以上もするにも関わらずついつい足を運びたくなる(最近は日本でも缶で気軽に買えるようになりました)。


これを機にWheatに関心が高まり地元ブルワリーでもウィート(小麦系ビール)を試すようになりました。私の現時点までの人生最高のビールであるStrange Fellowsというブルワリーのベル―ジャンホワイト(銘柄はJONGLEUR)に行き着きました。ウィートですが大変スモーキーでHazy、まろやかで味わいが深い。他では飲んだ事がない丸い小麦感と言いますか、これにはまってから完全にIPAよりWheatが自分の好みの頂点に切り替わりました。

とは言っても未だにIPAやPale Aleも好きですし、多様なビールを満遍なく飲みつつも「個人的にはWheatがベスト」というポジションが確定しました。これは一生変わらないかもしれません。

第四章:ダークホースのヴァイツェンボック


その後Andinaというクラフトブルワリーでヴァイツェンボックを飲む機会があり、思いもよらず落雷が頭の上からドカッと落ちてきました。ヴァイツェンボックとは、簡単に言うと「モルトが良く効いた小麦ビール」です。通常はエールです。
ボックならまぁ見かけますが、ヴァイツェンボックなんてむちゃくちゃマイナー。実際このブルワリーでもレギュラーで製造してる訳ではなく、流通にも流してないので飲む機会が少なく、ありつけた時はこの世の天国な気分で味わったものです。これが好きという事は、私はやっぱりモルトの風味が好きなんでしょうね。Wheatとモルトがつながりあったヴァイツェンボックは最高です。缶で売ってたら100%ケースで大人買い。

第五章:そしてラガーに戻る


巡り巡って実は今ラガーに戻ってまいりました。きっかけは友人が持参した比較的安価なメーカーのラガー(写真にあるPacific Western BrewingのGENUINEラガー)を飲んだのがきっかけ。クラフトではなく中規模の老舗ブルワリーで、私も以前から知っているメーカーのごく普通のラガーでした。これがまたうまい。

ボックほど濃くないがピルスナーと比べてモルト感がしっかりして、にも関わらずのど越しさわやか・後味すっきり、味わいがあるのにゴクゴクいってしまう。あぁもう最高。しかも価格帯的に激安カテゴリ(日本円だと355ml缶で約120円)。ワインと同じでビールも「高い方がうまい」と言う訳でもないと改めて実感したのでした。結局元のラガーに戻るとは、まるで季節のような巡回っぷり。

エピローグ

新しいスタイルに目覚ると、同一ブルワリーの一点攻めでなく他のブルワリーと比較したくなります。そうしているうちに別のスタイルにも目覚めてブルワリー比較・・・と、もはや一生抜け出せない「地獄のメリーゴーランド」。自分探しならぬビール探しの扉を開くと、その先は広すぎる世界が目の前に続きます。

地獄のメリーゴーランド

最近は今まで殆ど手を伸ばさなかった スタウトにまで目覚めもはや自分がどこに向かってるかまったくわかりません。笑

BGM: 季節が君だけを変える by BOOWY (年代ばれる)