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オレゴン州に、修道院が運営するブルワリーがあるのをご存知ですか?

それが、今回ご紹介する「ベネディクティーン・ブルワリー(Benedictine Brewery)」です。オレゴンから、マローン恵がレポートします。

この修道院ブルワリーがあるのは、オレゴンで一番の大都市ポートランドから車でおよそ1時間ほど南下したマウント・エンジェルというのどかな田舎町。ドイツ系移民が興した街で、規模は小さいのですが歴史的な建造物もあり、欧米からの旅行者に人気のスポットなんですよ。

ですがこのブルワリーは、街の中心地ではなく、そこから車で数分移動した、畑に囲まれたエリアに建っています。

このブルワリーは、マウントエンジェル修道院によって運営されています。開業してから1年ほどの新しいブルワリーですが、ビール造りは1880年代から修道院内で行われており、修道士や職員、ゲストの飲み物となっていたそうです。

修道院のビールというとトラピストが有名ですが、こちらの修道院はベネディクト会に属する修道院なのでトラピストではありません。全米広しといえど修道院ブルワリーは3軒しかなく、そのうちの貴重な1軒となっています。

建物内は、平日でもかなり賑わっています。マウント・エンジェルの観光がてら立ち寄る旅行者が多いんですよね。初めてでも入りやすい雰囲気です。

この建物は、修道士や地元のボランティア約100の手で、2017年11月に建てられました。木材はマウントエンジェル修道院の敷地内の森から切り出されたもの。余計な装飾のないシンプルでミニマルなインテリアの中、ところどころにカトリックのエッセンスを感じることができます。

ですが、カトリックやキリスト教のことを知らなくても、全然オッケー。私も門外漢なので(笑)。

ここでビールを味わうのに、異教徒でも、特定の宗教を持っていない人でも、まったく問題ありません。とにかくオープンな雰囲気があり、とっても心地良い場所なんです。

店内には2~4人がけのテーブル席が6組と、背の高い大きめテーブル席が3組。自然光がほどよく差し込みます。窓の外には一面、ホップ畑が広がっています。

のどかだ~。視力が回復しそう……。

ビールは常時9種類前後が提供されていますが、季節によって種類が変わることがあります。各5~6ドルですが、1杯はパイントよりやや少なめです。サンプルサイズのテイスターは1杯2ドル。

今回はテイスターを8種オーダーしてみました!

手前のトレー左から

・Saint Michael(ヘレスラガー)ABV6%

・Black Habit(ダークエール)ABV7.2%

・Saint Benedict(ファームハウスエール)ABV4.2%

・Haustus(ペールエール)ABV6.2%

奥のトレー左から

・季節のサイダー(ベリーのシードル)ABV6%

・Novice #22(ペールエール)ABV6%

・St. Gabriel(ベルジャンデュベル)ABV5.9%

・Novice #25(ペールエール)ABV5.5%

お天気最高のこんな日は、テラス席で味わうのがおすすめ!

ホップ畑を眺めながらビールが味わえるなんて、幸せすぎます。

湿度が低くカラッとした空気には、Saint Michael(ヘレスラガー)やSaint Benedict(ファームハウスエール)がぴったり。HaustusやNoviceは華やかなホップの香りが前に出ていて、輪軸がはっきりした味わい。私のお気に入りはBlack Habit。ダークエールですが重すぎず、香ばしさと甘みの絶妙なバランスが楽しめます。

こちらで造られるビールには、目の前に広がるホップ畑のホップをはじめ、地元産の素材が使われています。水は、修道院の井戸からくみ上げたもの。この1杯にオレゴンの自然の恵みがたっぷり詰まっています。

おつまみに、肉とチーズのプレートをオーダー(9ドル)。ちなみにフードメニューは、プレッツェルやカプレーゼといったおつまみ系プレートしかないため、お食事目的には適していませんのでご注意を。

カウンター横にはさまざまなゲームが置いてあり、ビールを飲みながら仲間同士で遊ぶことができます。私はこの日、メキシカントレイン(ドミノ)で盛り上がりましたよー。

ビールの醸造所は、タップルームの奥にあります。普段は一般公開されていませんが、窓ごしに醸造所の様子を見ることができます。

この日は特別に、中に入れていただきました。

こちらの方はマーティン神父(Father Martin)。マウントエンジェル修道院のプロキュレーターを務める傍ら、ブリューマスターとしても活躍されています。

「ここでは常時9種類のビールを造っていますが、ただいま新たな3種類のビールに着手しているところです。まもなくお披露目できると思うので、ぜひ楽しみにしていてくださいね!」

夕方になるにつれ、店内も外も満席状態に。白いユニフォームに身を包んだ修道士のみなさんも、楽しそうにビールグラスを傾けていました。

ポートランドから少し足を伸ばして、珍しい修道院のブルワリーでリフレッシュしてみてはいかがでしょうか? ここまで来る価値ありですよ!