こんにちは、マローン恵です。
今回は、オレゴン州ポートランドにある、とってもユニークなマイクロブルワリー「Concordia Brewery」をご紹介します。
なんと、築100年以上の歴史ある小学校校舎をリノベーションした施設の中にあるんです。
それがこちらの「ミクメナミンズ・ケネディースクール」。
1915年に創立した公立小学校で、90年代に閉校してからは地元コミュニティの活動などに活用されてきました。1997年、ポートランドのミクメナミンズ兄弟がこの建物を改装し、ホテルやレストラン、バー、映画館などが入った複合施設として生まれ変わりました。
なお現在、この建物はアメリカ合衆国国家歴史登録財に指定されています。
ミクメナミンズはこのような古い歴史的建造物を改装し、飲食店やホテルなどの商業施設にして運営するというユニークなビジネスを行っている会社で、オレゴン州とワシントン州で多くの商業施設を運営している人気の会社です。
さて、そんな歴史的な小学校にあるマイクロブルワリー「Concordia Brewery」の入り口が、こちら。
ドアにはビールの醸造タンクが描かれています。タンクの窓には、目が……(笑)。
ドアの窓から中をのぞいてみると、廊下に並ぶビールケグの奥に、カラフルなタンクが見えます!
普段はブルワリーの中に入ることができませんが、今回は特別に見学させてもらいました。
ブリューマスターのブライアン・ライリーさん。
ホップのTシャツはユニフォームではなく、自前だそうです。よっぽどビールが好きなんですね~。
醸造タンクに描かれているこの女の子は、実在の人物で、このケネディー小学校のイヤーブック(学年アルバム)の写真をオマージュしたもの。現在は80代になっているそうですよ。
「ブルワリーに限らず、この建物のホテルやレストランでは、ケネディー小学校の歴史を取り入れたアートがたくさん施されています。たとえば私のお気に入りは、この壁画なのですが……」
ブルワリーの壁に描かれた絵を指差し、ライリーさんは続けます。
「女子トイレのドアの前を、男の子たちが走っていますよね。これは事実、本当にあったことなんですよ。このブルワリーはもともと女子トイレだったのですが、奥は男子トイレとつながっていて、度胸だめしに女子トイレの中を走る男の子たちがいたそうです」
そう、こちらのブルワリーは、小学校の女子トイレだったんですね!
言われてみれば、タンクの下にはタイルが残っていたりと、女子トイレの面影を感じさせます。もちろん、しっかりリノベーションされているので、衛生面はクリアしていますよ~。
この日は、Black Widowというポーターを仕込んでいるところでした。
こちらのブルワリーでは6つの醸造タンクを使い、基本的に2人のスタッフでビールを製造しています。規模としてはかなり小さいですが、ミクメナミンズの系列には同じようなマイクロブルワリーが27軒あり、同じ素材と同じレシピでミクメナミンズのオリジナルビールを製造しています。
各マイクロブルワリーで作られたビールは、ミクメナミンズの運営するレストランやバーなどで味わうことができます。
タンクを覗くライリーさん。
こんなキュートなブルワリーで働くって、楽しそうですよね。
ライリーさん、どうもありがとうございました!
では次に、Concordia Breweryのビールを味わいに、小学校のレストランへ移動しましょう!
ケネディー小学校の建物内には、合わせて6軒のレストラン&バーがあります。
これら6軒のお店でサーブされるビールは、Concordia Breweryで作られたものです(お店によって味わえる銘柄が異なります)。
6軒のお店はどれも個性的で、Honors Bar(優等生のバー)やDetention Bar(お仕置き部屋バー)、ボイラー室を改装したBoiler Roomなどがありますが、今回はThe Courtyard Restaurant(中庭レストラン)に行ってみました。
その名のとおり、緑あふれる中庭に面しています。この日はあいにくの雨だったのですが、お天気の良い日は外の席で食事をすることもできます。
このThe Courtyard Restaurantは、もともとは小学校のカフェテリア(食堂)だった場所。
今はリノベーションされて、オリエンタルな雰囲気のレストランになっています。
ビールメニューは、こちら。
季節によって味わえる銘柄は変わります。
ビールのフライトは9.50ドルです。
今回私がテイスティングしたビールをご紹介します。
毎年3月に行われるアイリッシュのお祭りセントパトリックスデーを祝うためのスタウト。3月だけでなく、半年後の9月にも味わえます。
ナイトロ仕立てでクリーミーな口当たり。ロースト感がしっかり味わえるので、黒ビール好きにはたまらない一杯です。
こちらもスタウトですが、ずっしりと重みがあり、リッチな味わい。これぞスタウト!という一杯です。ミクメナミンズはアイリッシュパブ系なので、さすがスタウトにはこだわりがあるなという感じがしますね。
ミクメナミンズを代表するビールのひとつ。オレゴン産のラズベリーをたっぷり使ったフルーツエールで、見た目はその名のとおりピンクっぽい色。ランビックのような濃さはなく、程よい甘みと酸味、ベリーの爽やかさがあり、スッキリとした味わいです。
クラシックなノースウエスト・ペールエールで、ミクメナミンズで一番人気の銘柄だそうです。
ホップの爽やかな苦味とモルトの甘みのバランスが絶妙で、クラフトビールの醍醐味あふれる味わい。暑い日も寒い日も、それぞれの楽しみ方ができると思います。
ケルシュスタイルのビール。苦味がほとんどなく、フルーティで軽い味わい。Here comes the sunという名前のとおり、夏を感じさせてくれる爽やかなビールです。昼から飲むのにぴったり(笑)。
オレゴンをはじめアメリカではいまIPAがクラフトビールの主流になっていますが、IPA特有の華やかな香りと苦味を全面に押し出した味わいではなく、柑橘系を思わせる爽やかさが印象的。IPAにしては甘みが強めで、私はけっこう好きな味わいでした。
食事メニューはこちら。
週末のブランチの時間に行ったので、メニューも朝食~ランチといった内容になっています。
一番王道っぽい「スクールハウス・ブレックファスト」をオーダー。
卵2個にイングリッシュマフィン、お肉、ベイクドポテトがたっぷり~。お肉はソーセージやベーコンも選べますが、私は肉不使用のベジーソーセージにしました。どれもオーソドックスな味わいで、普通に美味しかったです。
メキシカンの王道朝食「ウエボス・ランチェロス」。
トルティーヤの上に、ブラックビーン、ペッパージャックチーズ、玉ねぎ、アボカド、そして卵を乗せたもの。チリソースやサルサがたっぷりで、サワークリームと混ぜながらいただきます。こちらも美味しかったです。
今回はブランチの時間だったのですが、次回はぜひ夜に訪れて別のメニューも味わってみたいです。
いかがだったでしょうか?
ケネディ小学校の建物自体がとても魅力的なので、観光がてら訪れ、ついでにレストランやバーでビールを味わう……というのがおすすめです。
まるでおとぎの国に迷い込んだかのような建物の中、ひとつひとつのアートに目を凝らしたり、ユニークなバーをはしごするのも楽しいですよ!
ちなみに、ミクメナミンズのオリジナルビールは缶でも販売されています。ケネディ小学校の売店でも購入できますが、Concordia Breweryのビールは製造量が少ないため、缶になっているのは別のブリュワリーのものだそうです。パッケージがかわいいので、ポートランドのお土産にも良さそうですね!