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ライター

皆さん、こんにちはKengoです。

お酒を飲む方に気をとられてなかなか記事を投稿できておりませんでしたが、久々にお邪魔いたします。

今回は過去1年半のホームブルーイング経験において発見できた、ちょっとしたBrewingノウハウをご紹介させていただきます。役立つかは別として参考程度に。

1. 麦の比率、種類選択

まずはいかにホームブルーイングにおいて麦の種類、量調節が大切なのかです。特に僕のようにAll Grain BrewingではなくExtract Brewingを行っている場合は、どれだけExtract(濃縮抽出された麦のシロップ) vs Grain(抽出されていない麦)の比率、及びどういった種類の麦を使うのかがキーポイントです。

僕がホームブルーイングをはじめて半年ぐらい、かれこれ6バッチほど作り終えた頃だったかと思います、全く違うレシピで新しいビールを作れど作れど、似たような味のビールしかできないという壁にぶつかりました。まずいとかではないのですが、自家製ビールだなー・・・となる独特なケミカル感を帯びた後味。これがどうしても抜ききれないのです。それがゆえに例えホップの種類をどれだけ変えようとも、ほぼ味に違いのないビールができてしまう無限スパイラルにはまりました。

この問題を解決するにあたって最初に取り組んだのが使用する麦の比率、種類選択でした。例えばですが、下記に従来のExtract Brewingで使われる麦の比率と、最近僕が使用している麦の比率を記してみます。

<従来の比率>

Extract 8lbs

Grain 2.5lbs (1.5-2lbs with basic malt, 0.5-1lb with specialty malt)

<Kengo比率>

Extract 2lbs

Grain 7.5-8lb (6.5-7 basic malt, 0.5-1lb specialty malt)

見ての通り、Extractの比率を下げて、代わりにGrainを多く使用します。後々のBrewing作業は若干面倒さを増すのですが、これによってExtractによって出てしまう独特のケミカル感は最小限に抑える事ができ、できるだけ自然な麦の味、各麦の種類の特性を味に生かすことができるようになります。

上記、麦の比率に加えて大切なのが麦自体の種類選び。例えば使用するホップが苦味の強いもの(Mosaic, Galaxy, Cimcoreとか)で、それに対抗できるような麦の味にしたいのであれば、Amber Ale用のExtractを使用してGrainにもアロマ/風味の強いもの(Aromatic Malt、Carapilとか)を選ぶ。

逆に使用するホップが柑橘的な風味(Citra, Mandarina Barvarian辺り)なものであるのであれば、麦の味はできるだけ爽やかなCrispyな感じのものが好ましいので、Pilsner用のExtractを使って、Grainもなるべく味を整えるための役割が強いもの(Golden Promise, Caramel Viennaとか)を選んでみる。こうしてその都度欲しい味と各素材の役割をしっかり理解することによって、少しずつ自分の思い描く味のビールに近づけるようになる気がします。

2. Brewingする際に足す水の割合

まず大前提にですが、この話はExtract Brewingを行う場合の話です。All Grain Brewingをする場合は、そもそも一度煮込まれたビール出汁に水を足すことはありません。

Extract Brewingがそもそも初心者に好まれるのは、そのハンディさにあります。All Grainと違い、濃縮抽出された麦シロップを使用するこのBrewing方法の場合、実際にBrewing時に使う鍋の大きさだったり、ホップと共に煮込むビール出汁の量だったりが少なくすみます。

僕も一番サボっていた時期は、ビール出汁6リットルぐらいに麦シロップを投入、その後ホップを足して煮込み、最後に真水を15リットル近く足して発酵させたりもしていました。Extractが有ればそれでも成り立っちゃうのです。但し、こうするとやはり最終的に出来上がるビールの質は落ちます。後出しされる水の影響もあり、せっかく煮込んだホップの香りに一体感が出ません。そしてExtractのケミカル感が非常に後味に残ります。

これを解消するには、そもそもホップと煮込むビール出汁の量をあげるのが一番です。結果大きな鍋、もしくは複数の鍋を使用しないといけなくなるので、Brewingプロセス自体が面倒になりますが、なんとか鍋が集まれば無理な話ではないです。

最近だと、僕はビール出汁として18リットル前後を準備、その後最終的に自分の欲しいビール分量(約20リットル)まで水を足し、最終的に出来上がるビール量を作り上げた上でExtract投入、ホップを煮込みます。この方法でBrewingを始めて以降、ビールの味にホップの風味がより一層染み込むようになり、ビール自体にも非常に味の一体感が出るようになりました。

以上二点、今までノラリクラリとホームブルーイングを続けてきて見いだした、僕のちょっとしたノウハウになります。いずれにしてもやはり一番大切なのは、自分が今なにをしているかを理解することです!

一つ一つのレシピ選び、Brewing方法、各プロセスに特性、役割があることを理解してBrewingを進めるのが楽しくて、どこかロマンを感じるところと言うか・・・、まだまだホームブルーイングは奥深いなと感じるこの頃です。