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初めまして、Kengoです。今回はHome Brewing (ホームブルーイング)たるものが一体何なのか、何をもってして趣味として楽しめるのかについて書きたいと思います。

私自身まだホームブルーイングを始めて半年ちょい、今までに作ったビールのバッチ(樽)数でいうとせいぜい10個ぐらいの初心者ですが、確実に少しずつホームブルーイングの世界に引き込まれています。

まず何といっても面白いのがこの世界の奥深さ。ビールを作っていく中で自分が決める一つ一つの選択が、最終的に出来上がるビールの味、色、泡の質にと大幅に違いを生み出します。行う作業全てにはしっかりとした大義名分があり、最終的に自分が飲みたいビールの味に導かせるため、毎度細かいブルーイングの作業工程を少しずつ変えながら進めてみたりもできる、いわゆるロールプレイングゲームのような感覚があります。

例えばイースト菌。皆さんもご存知の通りイースト菌はビールを作るにあたって必要不可欠なわけですが、彼等も元をたどれば生き物。イースト菌一つ一つにそれぞれの個性があって、違う醗酵のしかたをし、違う温度を好みながら、ちがう色・形状で発酵していくわけです。

お店で購入するイースト菌は小さな袋に収納された状態なだけで、一見ただの薬?のようなものをバッチに流し込んでいるような感覚になりますが、いざ醗酵させてみると本当にビビります。毎日毎日ボコボコ泡を吹きながら、着実に醗酵していくビールを見ていると、これが単に理科的な、液体と特殊な物質との化学反応で起こっている現象ではなく、イースト菌という生き物が引き起こしている生理現象なんだという事を本当に間近に感じる事ができます。

ちなみに我が家は基本的に醗酵中のバッチはベッドルームにて熟成させます。特に特別な理由があるわけではなく、ただ単にスペース的な問題でそこに置かざるをえなかっただけなのですが、寝ている間、もしくは寝る間際のふとした時、どこからともなくバッチが液中のガスを外に排出するときの“ボコンッ”という音が聞こえてきます。ちょっとおかしい人みたいに聞こえるかもしれませんが、なんというか今まさにビールになろうとしているこの液体が必死に呼吸をしているような、なんだかペットでも飼っているかのような感覚になります。個人的には昔から犬を飼おうかなと検討していたのですが、とりあえずはビールで十分そうです。

イースト菌の話はまた後日詳しく書きますが、他にもビール作りの奥深い一面は盛りだくさん。一番最初に選ぶモルト(麦芽)の種類も一般的なホームブルーイングストアで幅広い種類のものを入手でき、いわゆる定番のものから、少しアロマの強いIPA等にお勧めなモルト、はたまたPorterやStoutなどに使われる本当に色の濃いものまで多種多様なセレクションがあります。

又、モルトと同じ、ないしはそれ以上に種類があるのがホップ。各種類によって色々な特徴があるだけでなく、ホップにはアルファアシッド(α酸)といわれる数値が詳しく配当されており、その数値の高さ低さに応じて、どのホップをどのタイミングで、どういった他のホップとの組み合わせで醗酵に組み込むかでも最終的なビールの味、コクは圧倒的に違ってきます。

そして何よりも大切なのがビールづくりを通じての飲みニケーションの発展。言わずもがなではあるかと思いますが、自分の家で自分の作ったビールを友達、家族と飲みあうことができたら、それはもちろん最高ですからね。

次回以降は定期的に行っている私のブルーイングの日記、また気が向いた時には実際のブルーイングに際しての化学的な裏側なんかも少しずつ紹介できればと思っております。