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どうも、Kengoです!
さて、今回は少し詳しくビール造りにおけるモルト(麦芽)とホップがどんな役割を果たしているのか??どういった使われ方をしているのか??という事を書いてみます。

【モルト(麦芽)】

まず何よりもビールに欠かせないのがモルト。すべてのビールに入っており、モルトがないと醗酵もしない、ビールの味もしない、と言うかビールになりません。モルトの種類も様々で、いわゆる大麦からできているものや、ライ麦を使っているもの、はたまた一度加熱加工してかなり濃い色になったもの(一般的に黒い色系のビールに使われます)もあったりします。

その中でも、ブルーイング界には2種類の分別が存在しており、ビールの基礎の味、糖分の抽出に使われるBase Malt (ベースモルト)と、少量で微妙な味の調整用に使われるSpecialty Malt (スペシャルティモルト)に分かれます。特にSpecialty Maltには色々と特徴的なものが多く、ものによってはビールにアロマを足してくれるものや、苦み・渋みを足してくれるものまで多種多様。ホームブルワーは、この大量に存在するモルトを試行錯誤しつつ組み合わせ、オリジナルビールの出汁レシピを使っていくわけです。

そしてもう一つ、モルトがビールづくりにとって一番大切なものである理由が糖分です。そもそも「醗酵」とはイースト菌が液中の糖分を食しながらブクブクしていく(=アルコール値を溜め込んでいく)という現象の事を指します。そしてこのイースト菌の食料になる糖分こそ、全てモルトから抽出されたものになるわけです。簡単な話、醗酵させたい液体の中に糖分が少ないと、どうしてもアルコール値の低い、味気もないフラットなビールになってしまうという事です。ではどうやってその糖分をモルトから抽出しているのか?という話になるわけですが、これはまた説明すると話が長くなるのでまたの機会に・・。

【ホップ】

モルトに続いてホームブルーイングの楽しみを劇的に増してくれる要素がホップです。モルト同様、もしくはそれ以上に種類のバラエティに富んでおり、レシピの組み合わせはそれこそ無限に近いものがあります。

ホップがビールに与える基本的な影響はビール自体の調節的な味、もしくは香りづけになります。基本的な考え方としては、ホップがいっぱい入っていれば柑橘系の爽やかさを含み、後味にフルーツの香りが残るビールになります。いわゆるIPAならホップを大量に使い、ラガーやピルスナーのようなシンプルなビールならホップが大量に使われることはありません。

ホップにはそれぞれアルファ酸の度合いが振り分けられており、一般的にはこのアルファ酸の度合いが高いホップ達を苦みの強いビールに使う事が多いです。北米ではこういったアルファ酸の高いホップをBittering Hops (ビタリングホップ)と呼びます。基本的にホップはビール出汁と一緒に煮込んで味を染み込ませるのですが、Bittering Hopsはビールのベースホップとして使いすぎると苦みが強すぎたりもしてしまうので、煮込む時間も短時間にします。例えばアルファ酸5%のホップを1時間煮込むなら、Bittering Hopとして使うアルファ酸12%のホップはその1時間の内、後半15分だけ煮込んだり。そんな感じです。

更にホップは、ビール出汁と煮込んで味をしみこませる方法の他に、Dry Hop (ドライホップ)といわれるものも存在します。これはビールの出汁1次醗酵が終わり、容器を移し替えて2次発酵に移る際に新たにホップをビール出汁容器に直接投入、そのまま醗酵が終了するタイミングまでビール出汁と一緒に寝かせてしまうという方法です。一般的にはDry Hopとして使われるホップもアルファ酸が高い、いわゆる少し苦みのあるホップが多い傾向にあります。

世界中のホームブルワー達はこの多種多様にわたるモルト&ホップのセレクションと試行錯誤を繰り返しながら、自分オリジナルのビールレシピを作っていくわけです。

いや、ほんとそりゃハマりますよね、こんな奥の深い世界があるわけですから。